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研究テーマ2 KIDS AND FOODSハッカソンレポート

「子ども」と「食」の未来を
創造する、26人の2週間

au未来研究所によるハッカソンが、11月7日と11月21日に開催されました。今回のテーマは、KIRINとコラボレーションによる「KIDS AND FOODS」。初日の会場はDMM.make AKIBA、2日目は3331アーツ千代田にて行われました。

集まったのは、学生から社会人まで、26人。デザイナーやエンジニア、また今回のテーマならではの、お子さんのいらっしゃる方やフードコーディネーターという方もいらっしゃいました。講師陣には、アイデアプラント代表の石井力重さん、東京大学先端科学技術センター特任研究員の松村礼央さんを迎えました。

DAY 1(11/7)
アイデアスケッチ

今回もハッカソンの司会進行はEngadget津田啓夢さん。オリエンテーションにはKDDI株式会社 塚本陽一が登場し、au未来研究所の取組みについて説明しました。前回のハッカソンで生まれた「Warmy」プロジェクトの進捗情報なども共有し、参加者の士気を高めます。つづいて登壇したKDDI研究所の新井田統は、アイデアのヒントになりそうな、新井田が最近興味を持ったという食とICTの事例を紹介。さらにキリン株式会社から竹内淳能さんにお越しいただき、「キリンメッツコーラ」の事例などを引き合いに、今回のテーマについてアドバイスをいただきました。

まずは石井さんからアイデアの出し方についてレクチャーを受けます。今回は大きく2パートにわけてアイデアブレストを行っていきます。第1パートは【醸成・集約・表現・抽出】ワーク。よいブレストでは「啐啄同時」が起こると石井さん。雛が卵から孵る際に親は絶妙なタイミングで卵をつつくと言います。そのような創造的な呼応が起こるよう、参加者に呼びかけました。

まずはグループの中で2~3人に分かれ、雑談のようにアイデア出しを行います。3分ごとに相手を替え、一巡していきます。これが、醸成フェーズ。

集約フェーズに移り、出てきたアイデアをマインドマップに書き出していきます。マップを見ながら、枝があまり伸びない部分や、逆に密集している部分にピントを当て、さらにアイデアを加えながらまとめていきます。

席に戻り、各自アイデアスケッチ。この表現フェーズで書き出したスケッチをグループ内でプレゼンし合い、アイデアをしぼっていく抽出フェーズに移ります。残ったアイデアをもって、第2パートの発展ブレストに進みます。

石井さんが、発展ブレストの方法を2種類提示しました。アイデアのコアを見定めディテールの異なる案をたくさん創出するパターンと、ゲーム要素MAPでアイデアに新しさを注入するパターンから、好みの方向でアイデアを発展させることを呼びかけました。

今回も技術基盤に使用するのは「konashi」。開発者である松村さんから、konashiの解説と、フィジカルコンピューティングの概念についてお話いただきました。その後用意されたセンサーを実際に動かして確かめ、アイデアをどう具現化できるかを考えます。中には、逆にセンサーによってアイデアがまとまっていくグループも。

方向性の決まったグループから、段ボールでハードウェアスケッチにまとめていきます。

DAY1の最後は、各グループによるアイデア発表です。石井さん、松村さん、ユカイ工学青木俊介さん、竹内さん、新井田、KDDI研究所の久保健による講評も。やや厳しくも前向きなアドバイスをたくさんいただき、DAY2のプロトタイプ作成とプレゼンに向けてコマを進めます。

DAY 2(11/21)
プロトタイプ制作、発表

この日まで、各グループでアイデアの洗練を進めてきました。DAY1から2週間後の今日は、アイデアをプロトタイプに落とし込み、プレゼンまでを行います。この日はKitchHike 共同代表の山本雅也さんも参加。「食」のエキスパートからの意見をうかがいます。

─ みんなでおりょうり kids+cook ─

スマホアプリと連携する、計量カップ型のデバイス。「お手伝い」を通して親子のコミュニケーションを図ったり、子どもが調理に携わることで好き嫌いを無くしていくことを目指します。「しるしのところまで、おみずをいれよう」などアプリの指示に従って、計量カップを使ったお手伝いをクエスト形式で行うことができます。お手伝いの履歴はライフログ化されます。

「現段階では子どもより親が喜ぶ設計になっている(KDDI研究所杉山浩平、竹内さん)」という声があり、青木さんから「アプリは親だけに見せて、子どもがカップに集中できるようカップ側のつくり込みを」、山本さんからも「ほかの友だちと競える機能があると、向上心にもつながっておもしろくなる」とアドバイスがありました。「計量以外もほしいけど、難しいかな」と松村さん。

─ ままデジ ─

スマホと連携して光や音が出る、次世代型おままごとガジェット。点火をすると、フライパンから「ジュージュー」とお肉が焼けるサウンド。スマホで火力を調整、食材型おもちゃの発光具合によって焼き加減を知ることができます。焼きすぎると音声での注意も。火の扱いに不安のある子どもでも、おままごとでリアルさながらに調理を学ぶことができます。

山本さんは「革命の兆しを感じちゃいますね。おままごとを男の子向けにした印象です。小さい頃から料理に興味を持てば、大人になって“食”に関わる男性が増えるのでは?」と目を輝かせました。松村さんからは「ままごとからリアルへのステップアップの設計があるといい、うまくつないでいく仕組みを考えてみては」。それを受けて、「むしろリアルな調理が、こういうふうにスマホでできちゃう未来が来るかも」と青木さん。

─ おいしいウォッチ ─

食事を用意する親と、それを食べる子どもをつなぐ時計型ガジェット。親がスマホで子どもへ食材やメニューの選択肢を送信、おいしいウォッチで受信した子どもがその中から食べたいものを選べます。食事後は、感想を聞くことも。実際に子どもがいるメンバーの「毎日の献立づくりが大変、なのに子どもは食べてくれなかったり…」という切実な悩みから生まれました。

竹内さんは自身の子育て経験から、「子どもと大人の時間の感覚が違うから、食べてほしい時間に食べてくれなかったり、片づけてほしい時間にまだ遊んでいたりする。時計に楽しさをプラスすることで、子どもの行動が変わるかも」とコメント。「献立でのコミュニケーションに可能性を感じた。楽しさというより責任感で子どもと食をつなげたのがおもしろい」と山本さん。

─ Traying ─

三角食べなどの作法も学べ、楽しく自分で食べる練習ができるトレイ。「いただきます」の声で、トレーニング開始。食べ物が減っていないお皿を光や音で教えてくれます。しっかり食べて「ごちそうさま」で、トレイは虹色に。子どもが完食すると食卓にいなかった家族に通知が行ったり、後片付けをしないと親のスマホに鬼から電話がかかってきたりする機能も。

「同じ食卓にいるなら、親が直接言った方がよいのでは(松村さん)」、「アプリやトレイにすべて任せるのではなく、食卓上での家族のコミュニケーションにつなげられる仕組みを(新井田)」とコミュニケーション機能について指摘がありました。スタイリッシュなデザインに注目が集まる一方、「やや子どもらしさが足りない(青木さん)」「家に置くかな?(竹内さん)」という声も。

─ PACKAN ─

スマホで「ぱっかーん」と開く、ドーム型ガジェット。サプライズに使いたいケーキ、食後までおあずけしておきたいデザートなどを収納しておくことができます。スマホを振ると、ドーム型のフタが「ぱっかーん」というサウンドとともに開き、中に入っているケーキなどが登場。ライトアップによる演出も。プレゼンでは、子どもが楽しそうに遊ぶ映像も上映されました。

「ジャストワンアイデア! おもしろい!」と講師一同。シンプルさが魅力なためアドバイスに困りつつも、杉山は「出てくるものは食べ物でなくてもよさそうなので、食とのかかわりがもう少しあれば。ライトアップの部分で工夫できそう」とコメント。山本さんは「こういうアイデアを生むメンバーは、きっと毎日の暮らしが楽しいのだろうなあ」と会場の笑いを誘いました。

「KIDS AND FOODS」という、これまでのハッカソンのなかでもより限定的かつ現実的なテーマでしたが、問題解決の示唆となるユニークなアイデアがたくさん登場しました。au未来研究所にてこのアイデアからひとつを選び、コンセプトモデル化を目指します。

子どもと食と、コミュニケーション。その未来を目指す、コンセプトモデルにご期待ください。

今回作成された5つのプロトタイプの全貌は、「プロトタイプ」のページで公開中です。

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