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LIFE UPDATE

SCENE 1

OBAYASHI

大林組とKDDIが描く
未来の災害支援

災害支援をすこしでもはやく、安全に。

SPECIAL INTERVIEW

小西聡
KDDI
古屋弘
大林組
GUEST
竹内昌義
みかんぐみ

2020年、私たちの生活は大きく変化するかもしれません。
新しい通信システム「5G」が、まさにいま、2020年の実用化に向けて研究と実験が繰り返されているというのです。5Gで通信速度が速くなる?通信速度が速くなると、私たちの暮らしはどう変わる?au未来研究所では、5Gによって変わるくらしの“あれこれ”について、いろいろな分野から予想していこうと思います。

 第一回は「災害時における5Gの活躍」について。5Gを用いた実証実験を行う予定の建設会社・大林組の古屋弘さんと、学校や施設の建築から災害復興など、社会的な活動も行う建築設計事務所「みかんぐみ」の竹内昌義さん、そしてKDDIの小西聡が一緒に考えてみました。

復旧作業を安全に、かつ正確に。

大林組では、現在5Gを使った遠隔操縦の実験を行なう予定と伺いました。具体的にはどんな実験を行なうのでしょうか?

古屋
古屋
(大林組)

主に台風や地震といった自然災害後の復旧作業において、5Gを使った遠隔操縦の実験を行ないます。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

重機の遠隔操縦ですか?

古屋
古屋
(大林組)

はい。災害が起こると、同時に起こる問題として「災害孤立」ということがあります。これは、災害によって人が足を踏み入れると危険だと判断され、復旧作業に取り掛かるのが遅れてしまうことが原因です。だったら、人が乗っていない重機が作業すればいいのではないかと考えました。

大林組が導入した、危険を伴う災害復旧現場で無人化運転を可能にする遠隔操縦装置。現在は、さらなる機能向上を求め、5Gを使った実証実験が始まっています。

重機の遠隔操縦に、通信システムである5Gがどのように用いられるのでしょうか?

古屋
古屋
(大林組)

遠隔で操縦する場合、操縦するオペレーターは重機に取り付けた複数のカメラから送られる映像を見て、大きなラジコンを動かすように操縦します。この時カメラの映像が不鮮明でカクカクしていたり、オペレーターの指令と実際の重機の動きにタイムラグがあったりすると、正確で細かい作業ができません。でも、5Gは大容量の情報も、高速度で送ることができる。つまり、複数の映像も、高解像度で素早く送ることができるのです。実際に重機に乗って運転しているのと同じ感覚で遠隔操作ができるので、作業のクオリティは高くなりますね。

スムーズな機械の遠隔操縦が可能になる未来。映像の送信速度が高速化するため、重機とオペレーター間のタイムラグがなくなり、作業効率も上がります。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

オペレーターがキャッチできる情報は、映像だけですか? 例えば感触、「なにか硬いものに当たったな」とか、「重機が傾いた、危ない!」とか、そういうリアクションもあるとよりリアルに感じられそうですよね。

古屋
古屋
(大林組)

振動、傾き、音といった情報も重機を操縦する時には大切ですから、傾きや揺れを感知してオペレーターの椅子も動くような体感型ができたらいいですよね。現段階では、映像のクオリティが一番重要になっていますが、いずれはそういった、よりリアルを求めたことができたらいいなと思っています。オペレーターが操作したらその瞬間に重機が動き、その動きがきれいな映像として、すぐにこちらに返ってくるということを実現したいと思っています。そのためにも、まずは重機の通信速度を上げて、映像を送信する必要がありますね。

日常と非日常で使い分けられるセンサー。

災害の復旧作業で5Gが活躍しそうだということがわかりました。
ほかにも災害時での5Gの可能性について、どんなことが考えられるでしょうか?

竹内
竹内
(みかんぐみ)

いまのお話を聞いて、ドローンで災害現場の正しい情報を得て、無人の重機で復旧作業にあたるということが可能になりそうだと感じました。二次災害を減らして、安全で素早い復旧作業ができそうです。

小西
小西
(KDDI)

災害時に、被災地で携帯電話やスマートフォンなどのバッテリーがなくなってきて不安だったという話を聞きました。同じように、電波を発信する「基地局」のバッテリーがなくなるということも考えられます。そうなった時に、安定した電波を届けられるように、ドローンに小型の基地局を積んで被災地に持って行くことも将来は可能になると思います。スマートフォン用のバッテリーを積んでもいいですね。

災害時、不安になるのは電波やバッテリー不足。今ではドローンに基地局やバッテリーを積み込み、被災地に持って行き運用することも考えられています。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

たしかに、ドローンを使えば道路がなくてもいけますもんね。

私たちが普段暮らす「家」についてはどんな未来を想像しますか?

竹内
竹内
(みかんぐみ)

家電や家そのものにセンサーが付いてくると、個人のコンディションや気持ちに合わせて複合的な管理ができるようになると思うんです。部屋はどのくらいの温度が心地良くて、明かりはこのくらいの暗さが好きなど、個人のコンディションが建物に埋め込まれたセンサーで管理できるようになると面白いですね。

小西
小西
(KDDI)

その日の気分によって違うこともありますから、その辺りを察知してくれるようになったらいいですね。気分に合わせてお風呂が入浴剤を選んでくれる、ということも可能になると思いますよ。

日常のみならず、非日常の災害時にも大きく活躍してくれるであろう、5G。その可能性は無限で、数々の意見が飛び交い、話が尽きることはありませんでした。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

そういった日常的にうれしいセンサーが、災害時には非常用に切り替えられて、ボタン1つで安否を家族に送ることができるとか、ここに人がいることを外部に伝えられるようになるなど、日常と非常が、ひとつのセンサーによって管理できたら、解決できることが増える気がしました。

Iotがさらに進んで、人間にセンサーを埋め込むということも海外では行われていますね。

古屋
古屋
(大林組)

実は建設の現場でも、作業員にセンサーをつけるという提案がありました。夏場は熱中症になる人も多いので、その兆候をセンサーでつかんで早めに休憩させるということをやってはどうか、と。ただ、作業員があまりつけたがらないですね(笑)。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

気持ちはわからなくもないです(笑)。

災害時に備えた、建物の定期検診も。

災害から建物を守る、ということも可能になるのでしょうか?

古屋
古屋
(大林組)

いまの日本には、人間でいうと50歳を超えた建物が数多くあるんです。なので、長寿命化のための調査点検が、建物を守るためにはとても重要になってきています。ただ、現在建物の点検ってどのように行なっているかご存知ですか?

竹内
竹内
(みかんぐみ)

……目視、ですか?

古屋
古屋
(大林組)

そうなんです。ひび割れがないかを目で見て、壁を叩いて耳で音を聞くというように、人間の目と耳で検査をしているんです。ここにこそ、5Gの技術が使えそうですよね。建物の歪みを測ったり、内部の温度を測ったり、複数箇所を一斉に叩いて音を聞き分けるというような細かい検査を正確に行うことができれば、震災時の建物が倒れることを防ぐことができるかもしれません。人間にも建物にも、人間ドックのような定期検診が大切なんです。

古屋さんの言葉に耳を傾ける竹内さん。「建物の老朽化を防ぐため5Gが役に立つとは驚きました。事前に点検ができれば災害時も安心ですよね」。

小西
小西
(KDDI)

高解像度で大きく撮影した画像を、ユーザー自身が見たい場所や方向を選んで見ることができるようになったら、1つの画像や映像から、それぞれの専門の技術者が鍵になりそうな部分を抽出してそれぞれが調べるということができそうです。

竹内
竹内
(みかんぐみ)

古い建物を壊して全て新しくするということではなくて、今あるものを長く生かすための技術にも使えるというのはいいですね。

2020年をきっかけに、5Gがある生活が当たり前になりそうですが、不安はないですか?

竹内
竹内
(みかんぐみ)

昔はテレビや電話は一家に一台でしたが、いまはひとり一台の時代。それぞれが違うものを楽しんでいますよね。個人的には面白くて良いと思う反面、次の日に同じテレビ番組の話ができないというような「感動の共有」がなくなるのではないかというのが気になります。災害といった非常時には、技術の進歩によって助かることがたくさんあると思うので、そういう面ではますますの進化を期待しているのですが……。

被災状況や被災者の様子をリアルタイムで把握することができれば、より迅速な災害支援が可能になります。5Gの技術は今後の社会を変える技術といえるでしょう。

小西
小西
(KDDI)

そうですね。使い方にもよるのでしょうが、最近、他の人と感動の共有という体験が少なくなるという同じ懸念を持っています。将来的に、個人が考えている内容をセンサーで補助してあげるようなことが可能になれば、助け合うという意味での共有を増やすことができるかもしれません。街で困っている人方が「ちょっと助けてほしいな」という信号を送ると、周りの人が気づくような。その場の雰囲気が少しよくなる未来もあると思います。5Gとの出会いによって、ユーザーのみなさんが新しく明るい可能性を作り出してくれることに期待しています。

小西聡

小西聡

Satoshi Konishi

1993年に国際電信電話株式会社(現、KDDI株式会社)に入社。
衛星通信や固定無線通信、携帯電話通信の研究開発に従事するとともに、国際標準化団体で議長職も歴任し、グローバルな視点を養う。
2012年頃から5Gを見据えた技術の研究開発に着手。2014年4月より、KDDIモバイルアクセス技術部長として、4G LTEや3G、Wi-Fiの商用開発を担当し、スループットの高速化や音声通話の品質改善などに尽力。
2017年10月より次世代ネットワーク開発部長として、5Gシステムの技術検討や開発を進めている。

古屋弘

古屋弘

Hiroshi Furuya

1983年に株式会社大林組に入社。
東京本社技術本部土木技術本部にて銀座線トンネル改良溜池二工区土木工事などを担当。
2010年より東京本社技術研究所生産技術研究部で上級主席技師として勤務する傍ら、2015年からは熊本大学工学部客員教授に着任。
地盤工学を専門とし、加速度応答を用いた地盤の締固め管理システムの開発(国土技術開発賞)や、近年ではコンクリート締固め判定システム開発(ダム工学会賞)、ICT関連技術およびデータ標準化などの研究開発に従事、現在は建設ロボットの開発などを行っている。

みかんぐみ

みかんぐみ

MIKAN

建築設計事務所 「みかんぐみ」
みかんぐみは(写真左から)竹内昌義さん、加茂紀和子さん、マニュエル・タルディッツさん、曽我部昌史さんの4人のメンバーによる建築設計事務所。戸建住宅から、公共施設、万博パビリオンなどの建築設計を中心に、家具、プロダクトやアートプロジェクトまで幅広くデザインを手がけている。最近では、旧万世橋駅遺構を再生した新商業施設「マーチエキュート(mAAch ecute)神田万世橋」の設計を行った。旧万世橋駅のホームや階段などの遺構を70年ぶりに再生させ、その歴史を活かした空間デザインが注目を浴びている。
URL:http://mikan.co.jp/

私たちの日常生活を
楽しく刺激的にしてくれる5G。
でも、災害時といった緊急の時にも、
その力を発揮してくれるのかもしれません。

災害によって孤立してしまう地域を
少しでも減らし、
また災害によって倒壊してしまう
建物を少なくするため、
今も5Gを用いた実験が進められています。

日常も非日常も、世界を変える大きなことから
生活の小さなことまで。
5Gによって変わる生活は、
すぐそこまで来ています。

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