au未来研究所

研究テーマ1 BE PLAYABLE ハッカソンレポート

「BE PLAYABLE」を創造する、28人の2週間

au未来研究所によるハッカソンが、3331アーツ千代田にて開催されました。テーマは、「BE PLAYABLE」。2014年度のハッカソンで生まれた「FUMM」のような、新たなコンセプトモデル開発を目指します。

集まったのは、学生から社会人まで、文系理系問わずの28人。「文系でも参加できるハードルの低いハッカソンと聞いて」とハッカソン自体初参加だという方もいたほか、昨年からのリピーターの姿も。講師陣には、情報科学芸術大学院教授の小林茂さん、東京大学先端科学技術センター特任研究員の松村礼央さんを迎えました。

DAY 1(8/8)アイデアスケッチ

Engadget津田啓夢さんによる司会で、ハッカソン開始。オリエンテーションにはKDDI株式会社宣伝部塚本陽一も登場しました。au未来研究所の取組みについて説明する中で出た「第二のFUMMを目指してほしい」という塚本の言葉に、会場の熱が一気にあがる気配を感じました。また、KDDI研究所の石塚宏紀も登壇。これからのアイデアのネタにもなりそうな、石塚が最近興味を持ったという先進技術を搭載したプロダクトの紹介が行われました。

その後小林さんからアイデア出しの方法を学んだ参加者たちは、午後から実際に作業を開始。アイデア出しからプロトタイプを制作するアイデアを決定、プレゼンまでを行います。

ふせんに「いつ」「だれ」を書き出し、それぞれ7つずつ選び出したのち、最終的に1つの組み合わせを選出していきます。さすがにアイデアを絞っていく作業には時間がかかり、どのグループも白熱。準備された時間をオーバーしてしまう一幕も見られました。

決まった「いつ」「だれ」の組み合わせから、実際にアイデアスケッチを描き出していきました。続いて、メンバーごとにスケッチ、グループ内で共有という作業を2回繰り返し、アイデアをブラッシュアップさせていきました。中には、一回目の共有でピンとこず、「いつ」「だれ」を変更するグループもありました。

今回も技術基盤に「konashi」を使用します。開発者である松村さんより説明を受け、用意されたセンサーを実際に確かめながら、アイデアを具体化する方法を模索しました。

アイデアスケッチの中から一案を選び出し、段ボールでハードウェアスケッチにまとめていきます。

ハードウェアスケッチをもとに、各グループによるアイデア発表。子ども向けの遊具や、お年寄り向けの杖など、「BE PLAYABLE」なアイデアが出そろいました。発表後は、小林さん、松村さん、ユカイ工学の青木俊介さん、石塚による講評があり、実現に向けてのアドバイスや、ときに厳しい指摘も入りました。

DAY 2(8/23)プロトタイプ制作、発表

この日までにFacebookグループページ等で情報共有を行い、アイデアをブラッシュアップしてきた参加者たち。2週間後にあたるDAY 2では、プロトタイプ制作を行いました。この日はアーティストの鈴木康弘さんも参加。
アーティストとしての柔軟な意見をいただきます。

kazokumo

ダイニングテーブルに設置する、照明型デバイス。家族の情報を、波紋のような光や、音声、サウンドエフェクトなどで感覚的に共有します。その場に参加することができなかった家族は、その日の食卓風景をスマホでリアルタイムに知ることや、のちほど席に着いた際にプレイバックすることができます。また、誕生日などには、特別な演出も可能。

「kazokumo」というネーミングに、講師陣の注目が集まりました。リアルタイム共有に関しては、「必要ないのでは。一日の振り返りをしてくれるくらいでいいかな(松村さん)」と指摘が入りました。「フィードバックのループをどうするかのデザインが、難しいがキモになりそう(KDDI研究所・新井田統)」「もっといい収束の仕方がありそうで、その一歩手前にいる気がする(小林さん)」と、さらなるブラッシュアップに期待する声が聞かれました。

エスパーけん玉

お年寄りと、その孫にあたる子どもをつなぐ新しいおもちゃ。なつかしいけん玉と、孫の好きなスマートフォンが合体・連動し、二人で遊べるコミュニケーションツールに変身させました。Bluetoothによって、スマホからけん玉の動きを制御、剣先を隠したり、球の重心を変えたりして、けん玉プレイヤーの邪魔などをすることができます。「コマやヨーヨーは現代版が流行した、今度はけん玉をリニューアルしたい」と語りました。

「世代間ギャップを埋める」というコンセプトの着眼点や、そのアウトプットが「けん玉」というアイデアのユニークさに、講師陣も興味津々。しかし、「けん玉」と聞いて黙っていなかったのが鈴木さん。「じつは、けん玉にはすでに今回の課題を解決する要素が含まれている」と熱弁。アナログに勝てないかもしれないという点では、青木さんも「囲碁や将棋を超える楽しさを作ることがポイントになりそう」と指摘しました。

bocchix

おひとりさま=「ぼっち」を救う、ヘッドフォン型ガジェット。スマホに届いたドタキャンメッセージ等の「ネガティブbocchiシーン」を検出すると、ヘッドフォンが発光。孤独感を癒し盛り上げる音楽を自動で選曲。ユーザーはネガティブbocchiであることを周囲へアピールしつつ、bocchi状態を満喫することができるものです。Twitterとの連携機能もあり、ヘッドバンギングなど没頭しすぎると、bocchi状態を自動ツイート。フォロワーから救いの手が差し伸べられるかもしれない機能もあります。

「ぼっち」に対するポジションは意外と複雑で、「うれしいドタキャンもある(鈴木さん、小林さん)」「自分とは違うタイプのぼっち向け(松村さん)」と、“刺さらない”人も登場。しかし、ヘッドフォンというアウトプットには賞賛の声が集まり、「bocchixが世の中に知られている前提ではなく、知らなくてもなんか見てるとおもしろいみたいなものになるといい(小林さん)」「“サイレント・ディスコ”のように外から見ているぶんにはわからないけど、じつはみんな同じ音楽を聴いて盛り上がってるみたいな、ぼっち同士が音楽でつながるアイデアにするのもいいかも(青木さん)」とアドバイスが寄せられました。

Warmy

クマのぬいぐるみ「Warmy」を介してメッセージのやりとりができるアイテム。専用アプリからメッセージを送ると、相手のもとにある「Warmy」が受信、音声で伝えます。それに対し受信者がぬいぐるみ「Warmy」に対し行った「なでる」「横に倒す」等のジェスチャーを、スタンプにして返信してくれるというものです。

「飽きずに使い続けるアイデアがいる(青木さん)」「メッセージという即時性の必要なものと、置物というアウトプットに若干の矛盾がある(小林さん、松村さん)」という指摘がありました。ジェスチャーをスタンプで返信するアイデアには評価が集まり、新たなコミュニケーションツールの登場を予感させました。KDDI研究所石先広海の「気持ちを代弁するパーソナルアシスタント」というワードや、鈴木さんの「人形遊びというアナログに勝つために、インターフェースの複雑さがあるといい。また、絵文字やLINEのスタンプがなぜここまで受け入れられたのかをつきつめるとアイデアに活かせそう」というアドバイスがキーになりそうです。

あそぼール

スマホアプリでサウンドを採集し、ボールに転送することで、ボールからサウンドが出るようになるおもちゃ。インストール直後はサムネイルのみが並ぶアプリで、サムネイルに沿ったサウンドを収集したり、オリジナルのサムネイル付きサウンドをシェアすることが可能。アプリで集めたサウンドはボールに転送、ボールが飛んだり弾んだりすることで採取したサウンドが鳴ります。子どもが楽しむことはもちろん、大人もストレス解消や伝言等にも用いることができます。

「自分自身も使ってみたいし、自分ならこうするっていうのがそれぞれある気がする。開発者を超える使い方をする人も現れそう(鈴木さん)」「今すぐにでも売れそう(松村さん)」と絶賛の声が。もともとサウンドデザイナーだったという小林さんも、「まずアプリがおもしろい。意外とサウンドはマイナーな領域で、指定されたサムネイルに合った音を探すというだけでもよいアイデア」と太鼓判。ただし、「球体の複雑化は、機構的にも意外と難しい(青木さん)」という新たな課題もいただきました。

どのアイデアも新たなコミュニケーションツールとなる可能性を秘めており、「このハッカソンで終了ではなく、ぜひブラッシュアップを続けていってほしい」と講師陣。au未来研究所でも、この中から一つ選びコンセプトモデルの開発に入ります。今後の発展に、ご期待ください。

今回作成された5つのプロトタイプの全貌は「プロトタイプ」のページで公開中。